こんにちは、さこ氏です。
40代になってから、
「以前より痩せにくくなった」
「食べる量は変わっていないのに体重が増える」
「運動しているのに、なかなか体重が減らない」
と感じることはありませんか?
私自身も40代になり、食事に気をつけ、筋トレやランニングを続けていても、思うように体重が減らない時期がありました。
「やっぱり年齢とともに代謝が落ちたからかな?」
私もそう考えていました。
ところが、調べてみると**「40代になると代謝が急激に落ちるから太る」という説明は、それほど単純ではありません。**
では、なぜ40代になると痩せにくくなったと感じるのでしょうか。
この記事では、理学療法士として25年以上身体に関わってきた経験と、私自身の体づくりの経験を交えながら、
「なぜ痩せにくくなるのか」→「では何をすればいいのか」
を順番に解説します。
結論を先に一つだけ。
簡単に痩せる方法はありません。でも、簡単に始められることはたくさんあります。
まずは自分の身体と生活に何が起きているのかを知ることから始めましょう。
40代になると、なぜ痩せにくく感じるのか?
中年太りについて調べると、よく出てくるのが「加齢による基礎代謝の低下」です。
確かに、年齢とともに身体は変化します。
しかし、40代の中年太りを「年齢で代謝が落ちたから」の一言で片づけるのは少し違います。
まず、この思い込みから整理してみましょう。
「40代=代謝が急激に落ちる」は本当?
結論からいうと、40代になっただけで1日のエネルギー消費量が急激に低下するとは言えません。
2021年に『Science』に掲載された研究では、生後8日から95歳までの6,000人以上を対象に、年齢によるエネルギー消費量の変化が調べられました。
その結果、体格や体組成の影響を調整した1日の総エネルギー消費量は、20〜60歳では比較的安定していたことが報告されています。
低下が明確になるのは、おおむね60歳以降でした。
つまり、
「40歳になった → 代謝が急に落ちた → 太った」
という一直線の説明ではないということです。
ただし、ここには注意点があります。
この研究でも基礎エネルギー消費量については、低下し始める時期が総エネルギー消費量より早い可能性が示されています。また、研究者自身も45〜65歳の測定数が少ないため、正確な変化時期には不確実性があるとしています。
ですから、
「40代では代謝はまったく落ちない」
と断言するのも正しくありません。
重要なのは、年齢だけで説明しないことです。
40代で体重が増えてきたのであれば、筋肉量・活動量・食事・生活習慣まで一緒に確認する必要があります。
筋肉は「代謝を上げるため」だけに必要なのではない
次に考えたいのが筋肉です。
加齢に伴って筋肉量や筋機能が低下していくことは、多くの研究で報告されています。
中年期から筋肉量の減少が始まることを示したレビューもあり、年齢を重ねるほど筋肉を維持することは重要になります。
そこでよく聞くのが、
「筋肉をつければ基礎代謝が上がって痩せる」
という話です。
間違いではありませんが、私は40代以降では別の意味でも筋肉が重要だと考えています。
筋力があれば、
歩く。
階段を上る。
買い物に行く。
掃除をする。
旅行に行く。
スポーツや趣味を楽しむ。
こうした日常生活そのものを活動的に保ちやすくなります。
理学療法士として考えると、こちらの方が長期的には重要です。
「筋肉を増やして代謝を上げる」ではなく、「筋肉を維持して、動ける身体を保つ」。
結果として日常生活で身体を使う機会を維持できれば、エネルギー消費にもつながります。
40代からの筋トレを「痩せるためだけの運動」と考えないことも、長く続けるポイントになります。
週末に運動していても、普段ほとんど動いていない?
ここは意外と見落としやすいところです。
「運動していますか?」と聞かれると、
「週2回走っています」
「週末にウォーキングしています」
といった運動の時間を考えます。
しかし、身体がエネルギーを使うのは、運動している時間だけではありません。
通勤で歩く、階段を使う、仕事中に移動する、買い物をする、掃除をするといった日常の身体活動も積み重なっています。
日本人40歳以上1,740人を加速度計で調べた久山町研究では、参加者は測定時間の約半分を座って過ごしていました。
一方、中高強度の身体活動は1日中央値54.4分でした。
ここで大切なのは「54分運動すればいい」という数字ではありません。
運動の時間だけでなく、残りの一日をどう過ごしているかも見る必要があるということです。
たとえば1時間運動していても、それ以外の時間をほとんど座って過ごしているかもしれません。
逆に「運動」と呼べる時間は少なくても、仕事や家事でよく動いている人もいます。
中年太り対策を考えるなら、
「週に何回運動しているか?」だけではなく、「普段どれくらい身体を使っているか?」
にも目を向けたいところです。
「食べる量は変わっていない」も一度確認してみる
もう一つよくあるのが、
「若い頃と食べる量は変わっていないのに太る」
というケースです。
ここも「年齢のせい」と決める前に、少し確認してみましょう。
見るのは食事だけではありません。
間食、甘い飲み物、アルコール、外食なども含めた1日の摂取量です。
また、本当に摂取量が若い頃と同じだったとしても、身体を動かす量が少なくなっていれば、エネルギーバランスは以前と同じではありません。
さらに40代では、仕事や家庭環境の変化によって、
- 食事の時間が遅くなった
- 外食が増えた
- 睡眠時間が短くなった
- 車を使う機会が増えた
- デスクワークが増えた
など、生活そのものが変化している場合があります。
一つひとつを見ると大きな変化ではありません。
しかし、小さな変化が毎日積み重なっているとしたらどうでしょうか。
「40代だから太った」のではなく、
40代になるまでの間に、身体と生活の両方が少しずつ変わってきた。
中年太りを考えるときは、この視点を持っておくことが大切です。
中年太り対策のスタートは「痩せ方を探すこと」ではない
ここまでを一度整理します。
40代で痩せにくく感じる背景には、
| 見直したいポイント | 確認すること |
|---|---|
| 年齢・代謝 | 「年齢だから」と決めつけていないか |
| 筋肉・体組成 | 筋肉を使う機会が減っていないか |
| 身体活動 | 運動以外の時間に身体を動かしているか |
| 食事 | 間食・飲み物なども含めて確認したか |
| 生活習慣 | 睡眠・仕事・移動方法などが変わっていないか |
があります。
ここでいきなり、
「毎日5km走ろう」
「食事を半分にしよう」
と始める必要はありません。
まずやることは、もっと簡単です。
自分の生活を一度見てみる。
そして、
「ここなら変えられそうだ」
という場所を探す。
それが40代からの中年太り対策のスタートです。
では、食事にも気をつけて運動もしているのに、なぜ体重が減らないことがあるのでしょうか。
実は私自身、この疑問を強く感じる出来事がありました。
なかなか減らなかった体重が、わずか3日間で約2kg減ったのです。
もちろん、健康的な方法で減ったわけではありません。
次はこの経験を入り口に、**「そもそも体重が減るとはどういうことなのか?」**を考えていきます。
運動しても減らなかった体重が、3日で2kg減った
ここからは、私自身の最近の経験を紹介します。
私は普段から食事に気をつけ、筋トレやランニングなどの運動も行っています。
それでも、体重は思うように減りませんでした。
ところが、ある事情から3日間ほど十分な食事をとれない状態が続いたところ、体重が約2kg減りました。
運動を続けてもなかなか減らなかった体重が、わずか3日で2kg減ったのです。
もちろん、
「食べなければ簡単に痩せる」
という話をしたいわけではありません。
むしろ、この2kgの変化には、40代から健康的に体重を減らすために知っておきたいことが詰まっています。
そもそも体重を減らすには何が必要?
体重管理の基本となるのが、摂取エネルギーと消費エネルギーのバランスです。
食事や飲み物から身体に入ってくるのが「摂取エネルギー」。
基礎代謝や日常生活、運動などで身体が使うのが「消費エネルギー」です。
長期的には、摂取するエネルギーが消費するエネルギーを上回る状態が続けば体重は増えやすくなり、反対の状態が続けば体重は減る方向へ向かいます。
これは昔から変わらない体重管理の基本です。
だからといって、
「食べる量をできるだけ減らせばいい」
ということにはなりません。
必要な栄養まで不足するような食事制限は、健康的な体づくりとは別の話だからです。
3日で2kg減った。でも「脂肪が2kg減った」わけではない
ここが今回の経験で最も重要なところです。
体重計では約2kg減りました。
しかし、3日間で体脂肪が2kg減ったと考えるのは現実的ではありません。
体脂肪1kgに相当するエネルギー量は、一般的な目安として約7,000〜7,700kcalとされます。
仮に体脂肪2kgを3日間で減らそうとすると、単純計算では約14,000〜15,400kcalものエネルギー不足が必要になります。
1日あたりでは約4,700〜5,100kcalです。
私の体重変化を「3日間で脂肪が2kg燃えた」と説明するのは無理があります。
では、何が減ったのでしょうか。
短期間の体重変化には、
- 体内の水分
- グリコーゲン
- 消化管内の食物
- 塩分摂取量などによる水分変化
などが影響します。
特に食事量や炭水化物の摂取量が減ると、体内に蓄えられているグリコーゲンも減少します。
グリコーゲンは水分とともに身体に蓄えられているため、グリコーゲンが減れば、それに伴って水分も減ります。
そのため、食事量が急激に減った直後は、体脂肪の減少以上に体重計の数字が大きく動くことがあります。
今回の私の2kg減についても、体脂肪だけではなく、水分量やグリコーゲン、食事量そのものの変化などが大きく影響していた可能性が高いと考えています。
「2kg減った!」だけでは成功とは言えない
ダイエットをしていると、体重計の数字が減ればうれしくなります。
逆に増えていれば、
「昨日あんなに歩いたのに……」
と思うこともあります。
しかし、短期間の体重変化だけでダイエットの成功・失敗を判断するのはおすすめできません。
たとえば、
昨日より1kg増えた=一晩で脂肪が1kg増えた
とは限りません。
反対に、
3日で2kg減った=体脂肪が2kg減った
でもありません。
体重は、水分や食事、排便などによって日々変動します。
だからこそ、体重を管理するときは、できるだけ同じ条件で測定し、1日の数字ではなく数週間単位の変化を見ることが大切です。
私自身、今回の2kg減を「ダイエットに成功した」とは考えていません。
むしろ、短期間で体重計の数字が大きく変化することを自分の身体で経験したことで、体重だけを見て一喜一憂しないことの重要性を改めて感じました。
急激に体重を落とせば、そのまま痩せ続ける?
ここでもう一つ疑問が出てきます。
食事量を減らせば体重が減るのであれば、
「そのまま食べる量を減らし続ければいいのでは?」
と思うかもしれません。
しかし、身体はそれほど単純ではありません。
体重が減少すると、それに伴って身体が必要とするエネルギー量も変化します。
さらに減量に対して、予測される以上にエネルギー消費を抑える方向へ身体が適応することがあります。
これを適応性熱産生(adaptive thermogenesis)や代謝適応と呼びます。
「ホメオスタシスで元の体重に戻る」は少し単純化しすぎ
ダイエットについて調べると、
「急激に痩せると身体が飢餓状態と判断する」
「ホメオスタシスが働いて元の体重に戻ろうとする」
という説明を目にすることがあります。
ホメオスタシスとは、身体の状態を一定の範囲に保とうとする仕組みのことです。
ただし、
「身体が飢餓状態だと判断したから、自動的に元の体重へ戻す」
と説明してしまうと少し単純すぎます。
実際には、減量によってエネルギー消費量が変化したり、食欲に関係する生理的な変化が起きたりするなど、複数の要因が体重の維持を難しくします。
減量後に安静時エネルギー消費量などが予測以上に低下する「代謝適応」も報告されています。
ただし、その程度には個人差があり、すべての人に大きな代謝適応が起こるわけではありません。
つまり、
「ホメオスタシスがあるからダイエットしても無駄」
ということでもありません。
大切なのは、身体には体重変化に応じてさまざまな適応が起こることを理解したうえで、短期間の大幅な減量だけを目標にしないことです。
では、どのくらいの減量を目標にすればいい?
「健康的に痩せる」といっても、具体的な数字がないとわかりにくいですよね。
一つの参考になるのが、現在の体重の5〜10%程度です。
米国の肥満管理ガイドラインなどでは、過体重・肥満の成人に対する初期目標として、約6か月で現在の体重の5〜10%程度の減量が示されています。
また、3〜5%程度の持続的な減量でも、血糖や中性脂肪など一部の健康指標の改善が期待できるとされています。
たとえば体重70kgなら、
| 減量割合 | 体重の目安 |
|---|---|
| 3% | 約2.1kg減 |
| 5% | 約3.5kg減 |
| 10% | 約7.0kg減 |
となります。
ここで大切なのは、
「5%までなら急激に減らしていい」
という意味ではないことです。
数か月かけて無理のない減量を行い、その体重を維持できる生活習慣をつくることが目的です。
体重70kgの人なら、まず3〜4kg程度の変化でも一つの目標になります。
「1か月で10kg」のような大きな数字を目指す必要はありません。
「食べない」ではなく、今の生活のどこを変えるか
私が3日間で約2kg減った経験から改めて感じたのは、
食事量が体重に与える影響はやはり大きい
ということです。
運動をしているから、食事はあまり気にしなくていい。
逆に、食事を減らしているから、身体を動かさなくてもいい。
どちらか一方だけで考えるのではなく、食事と身体活動の両方を見る必要があります。
ただし、ここでいきなり厳しい食事制限や激しい運動を始める必要はありません。
まず確認したいのは、
「自分の今の生活の中で、どこなら少し変えられるだろう?」
ということです。
毎日使っているエレベーター。
近い距離でも使っている車。
何気なく食べている間食。
長時間座ったままの生活。
家事のやり方。
こうしたところにも、身体を変えるきっかけはあります。
簡単に痩せる方法はなくても、簡単に変えられる行動はあります。
次は、特別な器具や高額なサービスを使わなくても、40代が今日から生活の中で始められる中年太り対策を具体的に紹介します。
結局、中年太り対策は「それしかない」
ここまで読んで、
「結局、食事を見直して身体を動かすってこと?」
と思った方もいるかもしれません。
そうです。
結局、それです。
短期間で体重計の数字だけを下げたいのであれば、食事量を大幅に減らせば体重は下がりやすくなります。
私自身、十分に食事をとれなかった3日間で約2kg体重が減りました。
でも、前章で説明したように、それが体脂肪だけの減少だったわけではありませんし、健康的な方法でもありません。
では、健康的に体重を管理し、その状態を長く維持するにはどうすればいいのか。
残念ながら、
「これを飲めばいい」
「この運動だけすればいい」
「1日5分だけでいい」
という特別な答えはありません。
食事を見直す。
身体を動かす。
筋肉を維持する。
睡眠をとる。
そして続ける。
「そんなこと、昔から言われているよ」と思いますよね。
その通りです。
でも、さまざまなダイエット法が登場しては消えていく中で、結局残っているのは、この基本です。
問題は「知らないこと」ではありません。
知っているけれど、できない。
始めても、続かない。
ここではないでしょうか。
だから、ここから紹介するのは「新しいダイエット法」ではありません。
すでに知っている健康的な行動を、どうすれば自分の生活の中で実行できるのかを考えていきます。
まず「できていないこと」を一つ探す
「もっと運動しなければ」
と考える前に、自分の生活を一度見てみます。
たとえば、
エレベーターを使っている。
近い場所にも車で行く。
仕事ではほとんど座っている。
つい間食する。
夜遅くまで起きている。
おそらく、改善した方がいいことを一つくらいは自分でわかっているのではないでしょうか。
そこからでいいのです。
私なら、
「エレベーターを使わず階段を使ってみる」
くらいから始めます。
わざわざランニングウェアに着替える必要もありません。
ジムの契約も必要ありません。
特別な時間を作る必要もありません。
今までエレベーターで上がっていたところを、自分の脚で上る。
それだけです。
便利になった生活の一部を、あえて不便にしてみる
私たちの生活は、とても便利になりました。
車があります。
エレベーターがあります。
ロボット掃除機があります。
フロアワイパーもあります。
便利なものを否定するつもりはありません。私も使います。
でも健康という視点では、便利になったことで自分の身体を使う機会まで減らしていないかは考えてもいいと思います。
たとえば床掃除。
たまには雑巾を使って、自分で床を拭いてみる。
しゃがむ、立つ、腕を動かす、移動する。
これだけでも身体を使います。
もちろん、
「雑巾がけをすれば痩せる」
という話ではありません。
「運動する時間がない」と言いながら、生活の中にある身体活動まで効率化していないか。
そこを一度見直してみるということです。
健康まで「タイパ」で考えなくてもいい
最近は「タイパ」という言葉をよく聞きます。
短い時間で、できるだけ大きな成果を得る。
仕事や勉強では、とても大切な考え方だと思います。
でも、健康づくりまで、
「一番短時間で痩せる方法は?」
と考え続ける必要があるでしょうか。
階段を使えばエレベーターより時間がかかります。
歩けば車より時間がかかります。
自分で掃除すればロボット掃除機より面倒です。
効率だけで考えれば、どれも選ばないでしょう。
でも、その「少し面倒」が身体を使う機会になります。
健康づくりでは、ときには効率を求めすぎないことも必要だと私は思っています。
「知っている」を「やっている」に変える
ここまで紹介したことに、新しい情報はほとんどありません。
階段を使う。
歩く。
身体を動かす。
食事を見直す。
よく眠る。
誰でも一度は聞いたことがあると思います。
それでも中年太りに悩む人が多いということは、問題は知識だけではないのかもしれません。
大切なのは、
何を知っているかではなく、何を実際に続けているか。
です。
だから、全部を一度に始める必要はありません。
自分の生活を振り返って、
「これなら今日からできる」
というものを一つ選ぶ。
そして実際にやってみる。
ここからが、本当のスタートです。
中年太り対策で一番難しいのは「続けること」
階段を使う。
少し歩く。
食事を見直す。
筋トレをする。
睡眠をとる。
ここまで紹介してきたことに、驚くような新しい方法はありません。
おそらく多くの方が、
「それくらい知っている」
と思うはずです。
問題は、知っているかどうかではありません。
それを続けられるかどうかです。
健康的な生活を数日続けることは、それほど難しくないかもしれません。
難しいのは、1か月、半年、1年と続けること。
そこで大切になるのが**「習慣化」**です。
「21日続ければ習慣になる」は本当?
「同じことを21日間続ければ習慣になる」
という話を聞いたことがあるかもしれません。
わかりやすい数字ですが、現在の研究では**「21日続ければ誰でも習慣になる」とはいえません。**
健康行動の習慣形成について調べた2024年のシステマティックレビューでは、習慣形成までの期間を報告した研究で中央値は59〜66日でした。
さらに個人差は大きく、4〜335日という幅が報告されています。
つまり、
「3週間頑張れば習慣化できる」
というほど単純ではありません。
行動の内容や人によって、習慣になるまでの期間は違います。
ですから私は、
「何日続ければ習慣になるか」より、「考えなくても自然にできるようになったか」
を目安にした方がわかりやすいと思っています。
最初は意識する。でも、いつか「普通」になる
たとえば職場で、
「今日からエレベーターではなく階段を使おう」
と決めたとします。
最初のうちは、
「今日は階段を使わないと」
と意識するでしょう。
それを同じ状況で繰り返していると、
職場に着く → 階段へ向かう
という行動が少しずつ自然になっていきます。
これが習慣化です。
習慣形成を調べた研究でも、同じ状況で行動を繰り返すことで、その行動の自動性が高まっていくことが示されています。
そして、ここにはもう一つ大切なことがあります。
1日できなかったからといって、それまでが無駄になるわけではありません。
Lallyらの研究でも、1回行動できなかったことは習慣形成の過程に大きな影響を与えませんでした。
昨日は階段を使わなかった。
今日は運動できなかった。
食べ過ぎてしまった。
それだけで、
「もうダメだ」
とやめる必要はありません。
次の日にまたやればいい。
健康づくりでは、このくらいの考え方の方が長く続けやすいと思います。
人に言われたことより、自分で決めたことをやってみる
私は、健康づくりでは自分で考えて行動を決めることも大切だと思っています。
たとえば、
「毎日30分歩いてください」
と人から言われたから歩く。
これも悪いことではありません。
でも、
「自分の生活なら、昼休みに10分歩くことならできそう」
と自分で考えて決める。
同じ「歩く」でも、後者の方が自分の生活に合わせた方法です。
この考え方には、心理学的な裏付けもあります。
健康行動について自己決定理論(Self-Determination Theory)を用いた研究では、**自分で納得して行動する「自律的動機づけ」**が健康行動の変化と関連することが報告されています。
自己決定理論に基づく介入を調べたメタ解析でも、自律的動機づけや「自分にもできる」という感覚が行動変容に関係していました。
もちろん、
「自分で決めれば必ず続く」
という意味ではありません。
専門家のアドバイスや他人の経験を参考にすることも必要です。
大切なのは、言われたことをそのまま行うだけではなく、
「自分の生活ならどうすればできるか?」
と一度自分で考えることだと思います。
「痩せたい」の先にある目的を考えてみる
「5kg痩せたい」
これも立派な目標です。
でも、もう一歩先まで考えてみると、続ける理由が見つかるかもしれません。
なぜ5kg痩せたいのでしょうか。
健康診断の数値を改善したい。
好きな服を着たい。
旅行を楽しみたい。
マラソンを走りたい。
山に登りたい。
年齢を重ねても自分の脚で歩きたい。
目的は人それぞれです。
私自身も、体重計の数字を減らすことだけを目的に運動しているわけではありません。
ランニングや筋トレを続け、登山などの趣味をこれからも楽しめる身体でいたい。
そのために身体を整えています。
「痩せること」をゴールにするのではなく、「痩せて何をしたいのか」まで考える。
自分にとって意味のある理由が見つかれば、健康づくりを続ける目的も少し変わってくると思います。
うまくいかなければ、やり方を変えればいい
健康づくりは、最初に決めた方法を最後まで守らなければならないものではありません。
やってみたけれど続かなかった。
思ったほど体重が減らなかった。
運動がつらかった。
それなら、方法を変えます。
試す
↓
振り返る
↓
うまくいかなかった理由を考える
↓
方法を修正する
↓
もう一度試す
これでいいと思います。
たとえば、
「毎朝30分歩く」
と決めたけれど続かなかった。
そこで、
「自分は意志が弱い」
で終わらせる必要はありません。
朝は時間がなかったのかもしれない。
30分が長すぎたのかもしれない。
そもそもウォーキングが好きではないのかもしれない。
なら、
夕方に変える。
10分にする。
筋トレに変える。
自転車に乗る。
別の方法を試してみればいいのです。
反対に、うまくいったなら、
「なぜ続けられたのだろう?」
と考えて、さらに自分に合う方法へブラッシュアップしていきます。
失敗した経験も無駄ではありません。
「この方法は自分には合わなかった」
ということが一つわかったからです。
健康づくりに、全員に共通する完璧な方法はありません。
トライ&エラーを繰り返しながら、自分に合った方法を作っていくことが大切です。
健康づくりまで「コスパ・タイパ」を求めすぎない
今は、できるだけ少ないお金や時間で大きな成果を得る「コスパ」「タイパ」が重視される時代です。
仕事や生活では、とても便利な考え方です。
でも、健康づくりまで、
「最短で痩せたい」
「できるだけ楽に痩せたい」
「一番効率のいい運動だけ知りたい」
と考えすぎなくてもいいのではないでしょうか。
エレベーターより階段の方が面倒です。
車より歩く方が時間がかかります。
自分で掃除するより、便利な家電を使った方が楽です。
でも、健康という視点では、その少し面倒なことが身体を動かす機会にもなります。
健康づくりは、数週間で終わるものではありません。
50代、60代、さらにその先まで続いていきます。
だから私は、効率だけではなく、
「自分が楽しめるか」
も大切にしたいと思っています。
歩くのが楽しいなら歩く。
筋トレが楽しいなら筋トレをする。
ランニングが好きなら走る。
スポーツでも登山でも構いません。
楽しければ、またやりたくなります。
そして繰り返しているうちに、それが生活の一部になっていきます。
地道に続ける。そして、できれば楽しむ。
結局これが、健康づくりを長く続ける一番現実的な方法だと私は考えています。
よくある質問(FAQ)
Q. 40代になると本当に痩せにくくなりますか?
40代になっただけで、エネルギー消費量が急激に低下するとは限りません。筋肉量や体組成、日常の身体活動量、食事、睡眠など、さまざまな要因が関係します。「年齢だから仕方がない」と考える前に、現在の生活習慣を振り返ることが大切です。
Q. 40代ではどのくらいの体重減少を目標にすればいいですか?
過体重・肥満の成人では、初期の目標として6か月程度で現在の体重の5〜10%程度の減量が一つの目安とされています。ただし、適切な目標は体格や健康状態によって異なります。短期間で大きく減らすことより、無理なく続けられる方法を選ぶことが重要です。
Q. ウォーキングだけでも中年太り対策になりますか?
ウォーキングは身体活動量を増やす方法の一つです。ただし、ウォーキングだけで必ず痩せるわけではありません。食事や日常生活での活動量なども含め、生活全体を見直すことが大切です。
Q. 毎日運動しないと習慣になりませんか?
毎日完璧に続ける必要はありません。習慣形成の研究でも、1回行動できなかったことが習慣形成に大きな影響を与えなかったと報告されています。できなかった日があっても、そこでやめずに再開することが大切です。
Q. 食事と運動ではどちらを優先すればいいですか?
体重管理には、食事から摂取するエネルギーと身体が消費するエネルギーの両方が関係します。どちらか一方だけに偏るのではなく、自分の生活を振り返り、まず改善しやすいところから始めてみましょう。
まとめ|簡単に痩せる方法はなくても、簡単に始められることはある
40代になって痩せにくくなったと感じると、
「もっと効率よく痩せる方法はないのか?」
と探したくなります。
しかし、ここまで紹介してきた内容を振り返っても、特別な方法はありません。
食事を見直す。
身体を動かす。
筋肉を維持する。
しっかり休む。
そして続ける。
「結局、それ?」
と思うかもしれません。
そうです。
結局、それです。
昔から言われていることですが、時代が変わっても健康づくりの基本は大きく変わりません。
違うのは、それを自分の生活の中でどう実践するかです。
まず自分の生活を振り返る。
変えられそうなことを一つ決める。
実際にやってみる。
うまくいかなければ修正する。
うまくいったら続ける。
そして、できれば楽しむ。
その繰り返しです。
健康づくりは短距離走ではありません。
50代、60代、その先まで自分の身体と付き合っていきます。
だからこそ、短期間で完璧な結果を求めるより、自分が無理なく続けられる方法を見つけることが大切です。
簡単に痩せる方法はありません。
でも、
階段を使う。
少し歩く。
食事を一度振り返る。
今日からできることはあります。
まずは一つ。
自分で「これならできそう」と思うことから始めてみてください。
あわせて読みたい
中年太り対策は、特別な方法を探すよりも、食事や運動を自分の生活に合わせて続けることが大切です。
「もう少し具体的に始めてみたい」という方は、次の記事も参考にしてください。



